深き海より蒼き樹々のつぶやき

Sochan Blog---深海蒼樹

ひとりごと

2019年に直指庵を訪ねた話ーもしくはあの日キミが着ていたセーターについて

この前に嵐山を訪ねたのは、2019年の12月初旬のことだった。ずいぶん久しぶりの嵐山訪問だったと思う。少なくとも10年以上は間があいていただろうか。 40年ぶりと言っていいくらいご無沙汰だった直指庵にも立ち寄った。天龍寺が建つあのにぎやかすぎる道を渡…

そんなに身構えることはないーどうせ大した文章でも大した日々でもないのだから

なんだかね、1週間ほどブログをあげてないと「あぁまずいな」なんて一応は思うんだよね。別にこれで食ってるわけでもないし、待ってる読者がいるわけでもないのに。「あぁまずい、まずい。書いてないわ」なんて頭にはあるんだけど、結局書かない期間が週単…

そろそろ2024年の抱負を考える

そもそも今年の抱負なんてものは、前の年のうちに考えておくことなのかもしれない。それはそうなんだけれど、今年の抱負なんて今年になってからじっくり考えればいいやと思っていたら、新年からいろんなできごとが起きすぎて頭も体も心もいろんなものがおっ…

5年ぶりに電車に乗った話

先日、見たい展覧会があって京都市内に出かけてきた。ぼくは兵庫県北部に住んでいて、とても鳥取が近い。鳥取砂丘の馬の背にのぼったことも5回以上あるはずだし、鳥取イオンにもよく買い物に行くし、僕の財布の中には鳥取の店のスタンプカードがたくさん入…

60歳にして悶絶する自分に笑った

来月には満を持して60歳になる。うん? 満を持してるんだろうか? なんの準備も心づもりもないまま、ただただ60年間死ななかったことの結果として60歳を迎えるってだけのことだ。でも仕方がない。今までだってそうやって年齢を重ねてきたんだし、来月の60歳…

自分を見返してやれ

ここのところ一人暮らしがイヤだという若者の事案につづけて遭遇した。 ひとりは都会での就職が決まっていたのにそこでの一人暮らしがイヤで親元に残ってバイト生活を送っているという。もうひとりは、入社日にやってきたものの翌日から出勤してこなくなった…

リソースは有限であること、もしくは、優先順位の変更

もうすぐ60歳になる。それは生き続けていれば当然迎えるべきものだ。20歳がそうであったように、区切りの悪い47歳だってそうだった。何が言いたいかというと、生まれて20年間生きたら20歳、47年間生きたら47歳。だから、60年間生きたら60歳になる。いたって…

とりあえずここに引っ越すかな

とあるサーバーを借りてブログなんてものを10年以上やってきた。ただ、ここのところhttps化だとかいろいろあってよくわからなくなってきたのと、ひょっとしてあまり読まれてなくない?ってことで、引越してみることにした。 もともとが面倒くさがり屋なので…

ChatGPTがやってきた

GPT3の騒動も落ち着かないうちに早くもGPT4が一昨日にはリリースされて、界隈はさらにGPT一色に染まっている。といった感想を持つ今日この頃です。 まぁ、素人のぼくが言えることなんてあまりないんだけれど、なんだかこのお祭り騒ぎが楽しい。この騒動を「…

2023年(今年)、ぼくは60歳になる

久しぶりに引っ張り出したAppleのKeyBoardが打ちづらい。「あれっ?」ぼくの指ってここ数年で伸びた?それともぼくの手自体が急成長した?ってくらい、やたらとキーボードが小さく感じられる。その全体のサイズ感と言い、キートップの大きさと言い。 そんな…

夏がくる

すでに学校の夏休みもはじまったわけだし、ずっと以前からクーラーの世話にもなりまくりなのだから、いまさらって感じではある。『夏がくる』ってよりは『夏がきた』だろ。「夏なんてとっくにきてる」と言われれば、確かにそうだ。だが、どうもしっくりこな…

とくになにもない日曜日の夜について

タイトルのようにとくにこれといってなにもない日曜日の夜をすごしている。机の上にはちょうど飲み頃になった水出しコーヒーが入ったカップを置き、肩のこらない聞き慣れた音楽を流し、溜まった記事に目を通していたら21時を過ぎていた。 昨日から右足の調子…

考えたとおりに生きなさい。そうしないと、いずれは生きたとおりに考えはじめてしまうから。

ポール・ブールジェ(Paul Bourget)というフランスの作家がいたらしい。調べてみると、彼の生涯は1852年に開かれ1935年に閉じられた。そして当事、彼が著した『弟子』という作品は高い評価を受けていたらしい。モーパッサンとも親交が厚かったらしいのだが、…

真っ白な紙の上に頭を載せて…

ねぇねぇ、なんだかうまく伝わらないんだ、いろんなことがね。ひょっとしたらそれなりには伝わってるのかもしれないけれど、少なくとも僕は僕とキミの間にある微妙で済ませられないズレを感じている。そこであれこれ考えていたら、いい方法と言うか、こんな…

再び、自転車に乗る(もしくは、あの頃の話)

昔々、30年近く前、僕は人生初のボーナスとやらで、ロードバイクを買った。そして、それは、社会人になって金を稼いだらこうしたいという僕の夢のふたつ目が叶ったということでもあった。 学生時代、僕が社会人になってしたかったことは、紀伊国屋で手提げ…

冬の空と負け犬の遠吠え

この兵庫県北部という土地にやってきて、早くも15年が過ぎていった。元々は、大阪生まれ大阪育ちの僕は、いまだに自分が兵庫県民であるという自覚がない。というか、自分が住んでいるところが兵庫県だということに、時々自信がない。 その理由のひとつは、元…

なにかを成し遂げたいなら---才能、情熱、持久力、好きという感情---僕になかったもの

またしても、どうでもいい話を書こうとしている。そういう自覚は、まだしっかりともっているつもりだ。これから書こうとしていることが、自分にとっても他人にとっても、さほど有意義なものでないことは、多少なりともわきまえているつもりだ。 だったら書か…

ルーシー・リーの不意打ち(Casa BRUTUS 10月号)

せっかくはるばる来たのに欲しいと思うものがないのが口惜しくて、僕はすでに見た棚に戻ってもう一度丹念に背表紙を目で追った。そして、これはと思うものは、棚から出して手にとって目次を読んだり、ページをぱらぱらとめくってみたりもした。けれど、なに…

音楽が途切れたあとの静けさの中で

今日は朝から、溜まりに溜まったRSSの記事を処理していた。興味の薄いものはスルーして、興味のあるものはサイトを開いて目を通す。更に、あとあと見返すかもというものは、POCKETに保存する。 面倒ではあるのだけれど、楽しみでもあるし、楽しみではあるけ…

真夜中の風呂場で、頭を洗っていたら、誰かが僕に囁いたんだ---僕の「ありがとう」とあなたの「ありがとう」、もしくは、僕の「ごめんなさい」とあなたの「ごめんなさい」について

別段、なにかを考えていたわけではなかった。深夜遅く、風呂場で髪をごりごり洗っていたときに、それはふとやってきた。 恥ずかしながら、50歳も過ぎて今更?ってくらい、おっとりとそいつはやってきたのだった。

エレガントであることは、こんなにも強烈で力強いのか!---ルーシー・リーに打ちのめされた話

それは、かれこれと、2年以上も前の出来事であった。決して、その作家が目的ではなかったとある展示会で、思いもかけず僕はルーシー・リーとハンス・コパーに出会ったのだ。 いつものごとく最初に断っておくが、僕は殊更にルーシー・リーについて詳しいわけ…

ふがいない僕は、真夜中に背中を丸めて、大きな溜息のような息を、ゆっくりと注意深く吐き出す

iPhoneにイヤホンジャックをつないで、かれこれ2時間以上音楽を聞いている。 インスツルメントではなくて、基本、歌詞のある日本語の曲を聞いているのだけれど、ふと、そこに溢れている言葉にたじろいだ。 世の中は、いや、世界はこんなにも言葉で溢れてい…

てっとり早く幸せな気分になるには…

勿論のこと、『こうすればあなたも幸せになれます』みたいな、そういう話ではない。 でも、ふっと、ため息が洩れてしまう時や、あれもしなくちゃこれもしなくちゃと気持ちばかりが急き立てられて焦っている時、不条理な場面に遭遇してついイライラしてしまう…

たまには、『遅刻』してみよう

1日が24時間であり、1年が365日であることは、誰にとっても同じなわけなんだけれど、その24時間を全部自分のものとして感じられるかどうかで、時間にまつわるストレスというのは変わってくるのかなと、思ったりしている。 と言うのは、1ヶ月くらい前だろう…

井戸に降りて水を汲む---書くという営みについて

書くという作業について、もしくは、書くという営みについて、『暗い井戸の底に降りて、水を汲みに行くようなものだ』と語ったのは、村上春樹だったように思うのだけれど、その出典をうまく思い出せない。 またしても僕の記憶違いであるのかもしれないけれど…

現代を芸術家がどう生き抜いているのかについて---会田誠の言の葉より

きっかけは、単純に、会田誠さんの文章を読んだことだった。 会田誠 色ざんげが書けなくて(その八) 記事の中にもあるように、会田さんの森美術館での個展(『天才でごめんなさい』の中の、特に「犬」という作品)に対するフェミニストからの抗議といったこ…

自分のことは棚にあげて

つい先日、樹齢千年と呼ばれる古い大ザクラを見に行った折に、高校生の娘とランチをとった。 おかげさまで、父親を嫌悪することもなく、年に2回くらいは二人でランチに出かけている。 正直なところ、中学生の頃に一度、ランチに誘っても断られることが増え…

手をつないで、歩いてみよう

春だね。 僕の住む町でも、桜が咲いた。なかには、気の早い奴もいて、すでに桜吹雪となって、まだ少し冷たい風に舞ってしまっている花びらもいる。 ついこの間咲いたばかりなのに、とは、例年思うことではあるけれど、そういう思いを噛みしめることも含めて…

日向ぼっこが大好きだったキミへ

4月に入って、グンと春めいた日々がつづいている。(と言っても、4月になってまだ2日しか経ってないけどね) 今年は例年よりも雪の少ないシーズンだったとは言え、肌寒い風が吹きつづいた。もちろんそんな中では梅の花は咲かないし、桜は蕾さえ膨らまない。…

『蝶類図鑑』-- 大音量のジャズと苦いコーヒーと壁面いっぱいの蝶たち

かれこれ30年くらい前、京都にその店はあった。 僕が伝え聞いたところによると、その店の経営者は3人だったらしい。喫茶店をやりたかった男と、ジャズが大好きな男、そして、蝶を愛した男の3人が集まって、喫茶店をはじめた。 それが、『蝶類図鑑』だ。