深き海より蒼き樹々のつぶやき

Sochan Blog---深海蒼樹

村上春樹

僕と村上春樹と中学2年の娘へのクリスマスプレゼント

最初に、村上春樹なる作家を村上春樹と呼ぶべきか、村上春樹氏と呼ぶべきか、はたまたいち面識もないんだけど、村上春樹さん・村上さん・春樹さんなどと呼ぶべきか、一応はいろいろと考えて迷った挙げ句、村上春樹と敢えて敬称なしで書くことにした。 なぜ、…

そうか、こんな夜は『中国行きのスロウ・ボート』を読み返すくらいがいい

正直に言えば、特に村上春樹が読みたくなったわけではない。僕は自然言語の形態素解析プログラムを書いていた。そこで頻出単語をカウントするのに適当な文章はないかと物色していたところ、たまたま手近にあったのが村上春樹の文庫本だっただけの話だ。はな…

『職業としての小説家』に、懐かしい村上春樹を見た

なんだかひどく寒いなと思ったら、今日からもう10月になったんだった。飼い猫が、いつもより切実に鳴いて、身をすり寄せて暖を取ろうとするのも無理はない。 我が家から旅立った娘は、今日から後期授業に入るらしいし、そう言えば、あんなにも鼻についた金木…

村上春樹『風の歌を聴け』の英訳本発売

There's no such thing a perfect piece of writing. Just as there's no such thing as perfect despair. 以前に書いたように(『風の歌を聴け』の第1章について)、村上春樹は『風の歌を聴け』の英訳版を以前に日本国内で出版していたにもかかわらず、その…

『村上さんのところ』にメールを送ってみた

村上春樹さんがあなたの質問に答えますという謳い文句で、新潮社が、村上さんのところというサイトを立ち上げた。期間は、2015.1.16.-31の、半月間ということだ。 新潮社のサイトには、村上春樹氏が、わざわざこう書いている。 僕は送られて来たメールにひと…

村上春樹との、過ぎた蜜月について、語ろう(1)

蜜月なんて、きっとそんなものなんだろう。 誰だって、恋のはじまりは、相手のことが冷静に見られないくらい、すでにその時点で恋に溺れてしまっているものだ。 確かに、明確ではないにしろ、好きになる理由はあったに違いない。 けれど、そんな理由さえ忘れ…

高校3年生の娘とシャガと村上春樹の短篇集『女のいない男たち』

「お父さん、私の部屋の花を見た?」 珍しく家族揃って夕飯をとっていた食卓で、娘が、そう尋ねてきた。 娘は、高校3年生になる。そうそう安々と父親が部屋に入れる年齢ではない。しかしながら、我が家には、飼い猫がいるおかげと、娘の部屋が物干し台に出…

またしても、村上春樹の新刊のタイトルがひどかったので、これまでのタイトルを調べてみた

前回の翻訳短篇集についても、恋しくて – TEN SELECTED LOVE STORIESという記事で文句じみたことを述べたんだけれど、9年ぶりの短篇集の出版となるらしい、村上春樹の新刊書のタイトルが、これまたちょっと違和感がありまくりなもので、ついついまたひとこ…

恋しくて - TEN SELECTED LOVE STORIES

Amazonから、メールが届いていた。それ自体は、いつもの、購入履歴からのリコメンドであり、別段珍しいことでもない。しかし、今回のメールは、一瞬、僕の目をそこに釘付けにした。だって、そのメールは、僕のメールボックスの受信トレイの中に、こんな風に…

村上春樹では、泣けない

最新作の書き下ろし、『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』が出版されて、3ヶ月以上が経過したことになる。僕は、その作品が出版されて間もなく、『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』の、ごくごく短い感想以前の話という文章をアップし…

『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』の、ごくごく短い感想以前の話

仕事を終えて、夜中の12時近くに帰宅すると、テレビニュースでは、店に列をなす人の姿が映し出されていた。 その姿は、一瞬、アップルストアに並ぶアップル信者たちの姿と重なったけれど、すぐにナレーションが『ハルキスト』なる何度聞いても耳慣れない言葉…

『風の歌を聴け』の第1章について

村上春樹は、『風の歌を聴け』の翻訳を、許可していない。厳密に言えば、はるか昔、『風の歌を聴け』は日本国内で英語に翻訳され、出版・販売された。しかし、その後、村上春樹はその英語版の海外での販売を許可していない。 その理由は、村上春樹にとって『…

神戸を歩きながら、デタッチメントもしくは村上春樹について考える3

いつか君と歩いた神戸の道を黙って歩いていると、僕はいつしかあの頃の僕になっていくような錯覚を覚える。 目の前の角を曲がったら、見慣れたカーディガンを着た君が立っているかもしないと考えるのは、あまりにも非現実すぎるだろうか。

神戸を歩きながら、デタッチメントもしくは村上春樹について考える2

元町の商店街を抜けて、三宮に向かいつつ、北へ北へと歩いていく。どの地点からというのは判然としないし、北へ向かう坂道はその坂道ごとにそれぞれの顔をもっているだろうけれど、ある地点から自分のいる場所が神戸の北野であることを感じはじめる。 基本的…

神戸を歩きながら、デタッチメントもしくは村上春樹について考える1

2012年の8月の終わり、僕はランチタイムを挟んで6時間ほどを、神戸で自由に過ごせるシチュエーションを手に入れた。 大阪で生まれ育った僕は、異人館やメリケン波止場といった有名どころでデートしたことはあるけれど、神戸の街に詳しいわけではないし、ま…