深き海より蒼き樹々のつぶやき

Sochan Blog---深海蒼樹

2012-01-01から1年間の記事一覧

クリスマスの夜だから、ジョン・レノンについて語ろう(とりあえず、2012ヴァージョン)

夕方のニュース番組を見ていたら、ジョン・レノンのHappy Christmas - War is Overが、流れていた。毎年のことだし、それ自体はなんら珍しいことでもなくて、聞き流すつもりだったのに、ふと自分でも意表を衝かれて、涙がこぼれそうになった。 だから、とり…

羊と僕と王国の譚(6)

そろそろ、みなさんも気づいていることと思うんだけれど、この物語って、羊が家にやってきた以外なにも進んでないよね。いわゆる、物語らしいわくわくするような展開や意表をつく場面展開だとか、作者である僕が言うのもアレだけど、そんなものが致命的に、…

僕の”クリスマス・キャロル”

仕事を終えて、僕は仕事場の駐車場にたどり着いた。外灯の少ない暗がりの中、車屋が教えてくれたナンバープレートの番号を頼りに、車屋の代車を探した。やっと見つけた車は、お世辞にも礼が言いたくなるような車ではなかった。僕の180センチ近い体を乗せるに…

重症急性膵炎(1)-僕の病気

盲腸とか、脱腸とか、交通事故とか、骨折とか、出産とか、人生においては、なにかと入院しなきゃならない状況というのができてしまうものだけれど、幸運にも僕はそういう状況に遭遇したことがなくて、47年間、一日たりとも入院したことがなかった。

ドライブ!ドライブ!ドライブ!

やっと雪が溶けて、春めいた日々がつづきはじめた頃、職場に向かう国道を走っていると、幾つもの動物の屍骸に出会う。 最初の頃、それは不幸にも車に轢かれてしまった犬か猫だと思っていた。しかし、あまりにもその光景にでくわす回数が多いことと、その大き…

はじめて、1ヶ月

このブログもおかげさまで閉鎖することなく、なんとか1ヶ月が過ぎた。ブログ歴としての1ヶ月なんて、大した時間の長さじゃないと、僕自身も思う。思うんだけれど、ごくごく私的なこの僕の1ヶ月にかぎって言うなら、それなりに長い1ヶ月でもあり、なんとか乗…

羊と僕と王国の譚(5)

そもそも、羊は何をしに僕のところにやってきたんだろう? という、最初の、根本的なことが解決されていないわけだ。 しかしながら、僕はそれを羊本人に尋ねようとは思わなかった。なぜだろう? だって、相手は、羊だし。言葉を話すようにはまるで見えないし…

とある秋の散歩

よく晴れた秋の休日、僕たちは、気ままな散歩を楽しんでいた。テレビニュースでも盛んに言われるように、今年は紅葉の当たり年らしく、町は見事なくらいに秋らしく、いたるところに、切り取って部屋の壁に飾っておきたいような風景や、一瞬ハッと息を呑んで…

自惚れと言い訳と敵前逃亡

「時間さえあれば、いつでも出来るさ」 というのが、僕のいつもの、これまでの、言い訳だった。 「やりたいんだけど(書きたいんだけど)、まとまった時間が継続的にとれなくて、書きだしてもなかなかつづかなくて…」 「時間さえあれば、書ける」んなら、時…

羊と僕と王国の譚(4)

彼女を、それが正しい人称なのか、僕にも自信はないけれど、僕はその羊を家の中に通すことにした。勿論、僕に邪な気持ちがあったわけではないことは、繰り返し断言しておく。

これからの僕について

初めに断っておくけど、僕は1963年生まれで、来年には50歳の大台に乗ることを忘れてるわけでもなく、自分がすでに十分に大人であることも、大人でなければならないことも承知しているつもりだ。 でも、ふと、思ったんだ。 「僕は、これから先、どんな大人に…

羊と僕と王国の譚(3)

そうだ、僕は、確かに、その羊らしき訪問者にむかって、「チェンジ」と言葉をかけてみたのだけれど、それが聞こえたのか聞こえていないのか、僕には確信がもてない。ただ、なんだか、彼女は(これは僕の思い込みに過ぎないかもしれないけれど、根拠はないも…

羊と僕と王国の譚(2)

待たせていることを申し訳なく感じながらも、ドアを開ける前に、僕は覗き窓から外の様子をうかがってみた。しかし、なにも見えなかった。 僕がドアを開けないので、訪問者はもう立ち去ったってことなんだろうか。それとも、外の闇が深すぎて、見えないだけな…

羊と僕と王国の譚(1)

いつの間にか、僕は、台所のテーブルで、ウトウトと眠ってしまっていたようだった。 誰かが、僕の家のドアを、ノックした。 コン、コン! 最初、僕は、それがドアをノックする音だとは思わなかった。なぜなら、僕の家にはチャイムがついていて、わざわざノッ…

ダリアの咲く庭先で

たとえば、通りすがりの見知らぬ家の庭先に、きれいな花が咲いていたとしよう。 あなたなら、どうすだろう? ひと昔前までの僕だったら、どうしただろうか? 一番正直なところ、ひと昔前の僕なら、そんな花にすら気づかなかった可能性が高いし、その花を特に…

キンモクセイ

今年はいつまでも暑くて暑くて、いつになったら夏が終わるんだろうなんて心配しながら、10月の衣替えもいらないんじゃないかなんて言ってたら、やっぱり10月には暑さもおさまって、ついこの前まで夏バテ気味でアイスクリームばかり食べてたことも忘れて「食…

三振なんて怖くない

僕ら1960年代生まれは、所謂、野球世代と呼んでいいんだろうな。『巨人の星』とか、『侍ジャイアンツ』とか、野球漫画全盛期がドンピシャな世代だし。 漫画だけでなく現実の生活でも、アニメの「ドラえもん」や「サザエさん」に出てきそうな空き地が家の近所…

神戸を歩きながら、デタッチメントもしくは村上春樹について考える3

いつか君と歩いた神戸の道を黙って歩いていると、僕はいつしかあの頃の僕になっていくような錯覚を覚える。 目の前の角を曲がったら、見慣れたカーディガンを着た君が立っているかもしないと考えるのは、あまりにも非現実すぎるだろうか。

神戸を歩きながら、デタッチメントもしくは村上春樹について考える2

元町の商店街を抜けて、三宮に向かいつつ、北へ北へと歩いていく。どの地点からというのは判然としないし、北へ向かう坂道はその坂道ごとにそれぞれの顔をもっているだろうけれど、ある地点から自分のいる場所が神戸の北野であることを感じはじめる。 基本的…

神戸を歩きながら、デタッチメントもしくは村上春樹について考える1

2012年の8月の終わり、僕はランチタイムを挟んで6時間ほどを、神戸で自由に過ごせるシチュエーションを手に入れた。 大阪で生まれ育った僕は、異人館やメリケン波止場といった有名どころでデートしたことはあるけれど、神戸の街に詳しいわけではないし、ま…