深き海より蒼き樹々のつぶやき

Sochan Blog---深海蒼樹

2024-01-01から1年間の記事一覧

「民意」ってなんだろう?

ここのとろこ、よく耳にする言葉に「民意」というのがある。そこで少々疑問が湧いてきた。 「民意」はたくさん集めた者の『勝ち』ではある。 だけど、それだけが「民意」なのだろうか? 「民意」は『勝った者』が総取りできるんだろうか? なんだか乱暴な拡…

予感

朝ごはんのトーストを齧っていると、咀嚼のたびに前歯が疼くような痛みを感じた。その歯は差し歯だったはずで、舌先でその根本を恐る恐るなぞって異常がないことを確認したにも関わらず、不吉な予兆のようにも思えて漠然とした不安が痛みと溶け合いながらも…

白く咲いて赤くなる花(酔芙蓉を知る)

「芙蓉の花が咲いたわよ」と、庭の手入れを受けもっている女将からうれしそうに声をかけられたのは一昨日のことだった。 「芙蓉ですか」と、その花の姿かたちをすぐに頭に浮かべられないぼくは、間の抜けた慎重な返事をする。 撫子の花が咲きました芙蓉の花…

CLAMP COFFEE SARASAでコーヒーとトースト

ものの本によると、いまスペシャルティーコーヒーというのがブームらしい。そしてその一杯を求めて、世界中の人々が日本にやってきているという。それは外国観光客人気ナンバーワンの京都でも起きている現象らしく、%みたいな独特なマークを目にしたのはど…

好きであるために

あなたにとってぼくの好きが重荷であったり、嫌悪の対象であるなら、ぼくはあなたを好きでいてはいけない。 あなたが好きだから、あなたを好きではいられない。 あなたを好きでないのは、あなたが好きだから。 いったいぼくの好きはどこへ行ってしまうのだろ…

執着

離れてしまえばいいのに、離れられない。 あきらめてしまえばいいのに、あきらめられない。 傷つくのがイヤなら、なかったことにして忘れてしまえばラクなのに。

こんな暮らしをいつまでつづけるんだろう?

連日というわけではないけれど、今日もまた真夜中3時過ぎに目を覚ました。眠ったのは夜中過ぎだったので3時間足らずの睡眠だ。十分な睡眠時間とは言えない。もう一度眠りにつこうかと理性的なぼくの一部は考える。そして今日は理性的ではないぼくの一部が…

やっぱりなにごとも継続かぁ、という話

先週の「情熱大陸」だったろうか、作家の北方謙三氏がとりあげられていた。 作家としての努力みたいなことを尋ねられて、 「結局は、継続する力なんだよ。才能がなくても、つづけられるってことが大事」みたいな趣旨のことを答えていたと思う。 やっぱり、そ…

正統派(オーソドックス)であること・・・二条城の狩野派と大乗寺の円山派

二条城に行ってみようと思ったきっかけは、辻惟雄さんの「最後に、絵を語る。」という本だった。恥ずかしながら、還暦を過ぎる歳まで一度も二条城に行ったことがなかった。茨木市という比較的京都寄りの大阪で育ち、京都は行き慣れた場所でもあったはずなの…

2024年9月以降に行ってみたい展覧会を書き出してみる

この暑さはいつまでつづくんだろうと、毎日の残暑とも呼べない本格的な暑さに愚痴が止まらないなか、それでも9月を半ばを迎えて以前から心待ちにしていた展覧会がポツポツと開催日を迎えている。 正直なところ、この暑さのなか、出かけるのは気が引ける。特…

森田真生氏の才能に「はぁっ?」となった話(『僕たちはどう生きるか』)

今朝、ナミアゲハの幼虫が、いつもいるサンショウの木にいなかった。新たに葉を食われたばかりのサンショウの枝だけが、まっすぐ天に向かって伸びていた。あんなにたくさん葉を食べ、ようやく蛹になるところになって、あの美しいイモムシは、蝶になる可能性…

9月になれば......

どうやら今日から本格的に9月のようだ。子供たちの夏休みが終わって今日から学校が始まるというのが、一般的なんではないだろうか。通学する子供たちの姿を見ることで、なんだか「あぁ日常というか、普通に戻ったんだな」なんて思う。わが家の子供はとっく…

物語か文章か、なにが書きたいのかを考える

なにを書きたくて書くんだろう?と、あらためて考える。 物語はもはや手の届かないところにあるような気がする。とてもとても面倒で、ゴールまで走りきれる気がしない。 では文章が書きたいのか? どんな文章を? 箴言だとか名言みたいな、なにかを言い当て…

夏の背中

夏の背中が見えた気がした。 梅雨入りを迎えたばかりだと言うのに、その梅雨明けさえもはるかに飛び越えて、夏が終わっていく風景が脳裏にひろがった。 あぁ夏が終わっていく、こんなにも早く今年はその背中が見えた気がした。

あの時のあの仲間ともう一度プレイがしたい---荒木大輔氏のひとことに寄せて

従業員食堂で夕食を食べながら見たテレビは、甲子園を騒がせた高校球児の特集をやっていた。そこに早実で甲子園を沸かせ、その後はヤクルトに入団した荒木大輔氏が出演していた。ぼくより一歳下の彼は甲子園を懐かしみ、今でも甲子園は自分にとって特別な場…

理想と現実の狭間に埋もれて

描かなければ、誰にも見えない 歌わなければ、誰にも聞こえない 書かなければ、誰も読めない カフカ断片集―海辺の貝殻のようにうつろで、ひと足でふみつぶされそうだ―(新潮文庫) 作者:フランツ・カフカ 新潮社 Amazon

断片でいいのか?---「カフカ断片集」を手にしてぼくは考えた

書店に行くと、「カフカ没後100年」と銘打って新潮文庫から出た本が平積みされていた。カフカと言えば、はっきりと読んだ記憶があるのは『変身』くらいだろうか。中学2年生か3年生だったはずだ。『城』『審判』はどうだったろう。カフカの短編集と聞くとな…

「書く人と書かない人」がいるとするならば、ぼくは「書く人」でありたい

誤解しないでほしいんだけれど、別に自分を特別な人間だと言いたいとか、そういう話ではまったくない。「書く人と書かない人」という区分けは、「ギターを弾く人と弾かない人」とか「フルマラソンを走る人と走らない人」だったり「バイクに乗る人と乗らない…

文章の目利きについてー川上未映子『夏物語』の50ページを読んで思ったこと

来月で満61歳になる。本の読み方というか、本を読むという行為にかけるポリシーみたいなものが変わってきた。 今までのぼくは読みはじめた本が面白いと感じようがつまらないと感じようが、最後まで読むというのが基本的姿勢だった。それは出だしで「なんだこ…

京都 もののけ 村上隆展に行ってきた

村上隆もののけ 先日、やっとのこと京セラ美術館で行われている村上隆展に行ってきた。開催前から行こうと決めてはいたものの、毎度のことながらぐずぐずしているうちに終わるかと思っていたら、幸運にも会期が延長になったこともあってなんとか行くことがで…

北斎と広重展を見て、梶よう子『広重ぶるう』を実感してきた話

香雪美術館(中之島)で開催されている「北斎と広重」展に行ってきた。客層は見事にシニア世代。平日だし当然かな。まぁ、僕もしっかりその世代に入ってるわけだし、そのことに文句があるわけでもない。 今回、事前に梶よう子さんの『広重ぶるう』という広重…

『広重ぶるう』(梶よう子)を読んでの単なる覚え書き

文庫本についていた帯を読み間違えていて、NHKでこれからドラマ化されるものと勘違いしていた。読み終わってよくよく見れば、2024年3月の放送と書いてあった。阿部サダヲさん主演で作られたらしい。 歌川広重という名前を知らないわけではないのだけれど、じ…

最近気になった2曲

きみはおんがくを中途半端にやめた なんだか能天気そうなイントロとは裏腹にエグい出だしでその曲は始まる。 これを歌っているのもバンドなのだから音楽をやっている本人たちなわけだ。その本人たちが「音楽をやめた君」に向かって、「中途半端に」という決…

文末に書かれた「元気でいてね」の決まり文句が、今日はやけにずっしりと感じられて…

GWのわずかな日々を実家で過ごして娘が帰っていった。以前に書いた還暦祝いはまた今度から一年、無事に還暦祝いも執り行われた。 特に娘とふたりきりで話をする機会もなかったし、とりたてて深刻な話もなかった。いつもながらの帰省だ。相変わらず痩せすぎな…

久しぶりに夜が明ける前の空気を吸った

ほんとにどうでもいい話すぎるんだけど、今朝、出発の早いお客様の見送りのため早起きをした。どれくらい早起きだったかというと、午前4時に起きた。もちろん、そんな時間にふと眼が覚めることはある。特にトイレに行くためにとか、一瞬だけ目が覚めてスマホ…

助手席には

今日はたっぷりと買い物をしてきた。スバルVXの後部座席はフラットに倒されて、屋外用の物干しセットと僕の自室用の組み立て式背もたれ椅子の大きめのダンボールがふたつ載っている。 収まりきらない金属製竿竹の先っぽが助手席にまで伸びている。シートには…

4月になれば...

さていったい4月になれば...ぼくはなにをどうするつもりだったんだろう? この冬が終われば... 春になって暖かくなれば... 4月になれば...なんだっていうんだったろう? 情けないことにそれすら覚えていない。毎年毎年新年を迎えるたび、季節が変わるたび、…

外は暖かく晴れているというのに

昨日たてた予定では、朝いちばんに車庫から夏用タイヤを引っ張り出してきて車に載せ、馴染みのディーラーに行ってタイヤ交換をしてもらうはずだった。 けれど、時計の針は午後をとっくに過ぎて3時に近づこうとしている。別段急な用ができたわけでも予定変更…

なかなか春が来ない

毎年のことだけど、3月に入ってからが焦ったい。寒の戻りだとか三寒四温なんて言葉があるくらいだから、3月とは昔からそういうもんなんだろう。とは思うものの、それにしてもなかなかに春が来ない。 このあたりでは、お水取りが済むまでは慌てて冬用タイヤを…

PERFECT DAYS - Days of HIRAYAMAを観た話

ヴィム・ヴェンダーズ監督、役所広司主演の映画、「PERFECT DAYS」を観てきた。その感想というわけなんで、ネタバレがイヤな方は読まない方がいいかもしれない。 まずは、ヴィム・ヴェンダーズ監督のことを思い出してみよう。「パリ、テキサス」は不思議な映…