きみはおんがくを中途半端にやめた
なんだか能天気そうなイントロとは裏腹にエグい出だしでその曲は始まる。
これを歌っているのもバンドなのだから音楽をやっている本人たちなわけだ。その本人たちが「音楽をやめた君」に向かって、「中途半端に」という決して褒め言葉ではない表現で切り捨てる。痛烈な歌い出しにいきなりもっていかれた。
リーガルリリー、2016年発表の『リッケンバッカー』。
リーガルリリーがガールズバンドであることも知らずにこの曲を聞き出した僕は、『リッケンバッカー』というタイトルからギター愛溢れる歌なんだろうかと思っていた。それにしてはイントロがロックンロールではないような気がしないでもない…。と思っていたら、いきなりこの歌い出だしだ。
そして不思議なのはロックンロールとは縁遠いようなこのボーカルだ。ドスなんかどこにもきいてないようなかわいい声で、えげつない歌詞を朗々と歌いあげていく。そして、時にその声は切実さを滲ませて聴く者の心に沁みる。
おんがくも人を殺す
からの、
おんがくよ、人を生かせ
がまたグッとくる。
そして最後は自嘲気味ながらも開き直りともとれる自分語りで終わる。
ニセモノのロックンロールさ
ぼくだけのロックンロールさ
次の曲は、うぴ子の『喉を焼く』
「小田急線の人身事故で電車が止まった時に作った曲です」と本人が語っている。
途中までは、あいみょんの『生きていたいんだよな』を思い出しながら聞いていた。一番の歌詞が終わるかなというところでもっていかれた。ここは予想してなかった。
言えない言葉が 喉を焼く
この歌い方。
そして、タイトルの意味を知る。
それにしても、言った言葉ではなく、言えない言葉が喉を焼くってすごくないだろうか?