ヴィム・ヴェンダーズ監督、役所広司主演の映画、「PERFECT DAYS」を観てきた。その感想というわけなんで、ネタバレがイヤな方は読まない方がいいかもしれない。
まずは、ヴィム・ヴェンダーズ監督のことを思い出してみよう。「パリ、テキサス」は不思議な映画だったし、なんと言ってもナスターシャ・キンスキーだった。僕にとっては。(「ホテル ニューハンプシャー」で熊の着ぐるみをずっと身につけていたのを見て以来、長らく見ていない気もするけど)
そう言えば「ハメット」をレンタルビデオ屋で借りて観たような記憶がある。ダシール・ハメット。謎多き小説家。ハメット→チャンドラー→サラ・パレツキーと繋がっていく探偵ハードボイルド小説の祖先である。チャンドラーからパレツキーまですっ飛ばしてしまうのは自分でもどうかとは思うけれど、ハメット、チャンドラー、パレツキーはほぼほぼ読んだ。
そして、ヴェンダースといえば、「ベルリンー天使の詩」だ。前半の退屈さに耐えきれずに寝落ち寸前だったのを覚えている。梅田にあった映画館だった。
すべて80年代だった。ヴェンダースの映画を観たのも探偵小説にハマったのも。83年は僕が大学に入学した年だ。
わが地元の映画館、豊岡劇場では本日が「PERFECT DAYS」の上映初日だった。そのせいか思った以上にお客さんが多くて驚いた。多いと言っても20人から30人の間くらいの人数で、大ホールはガラガラなんだけれど、豊劇としては盛況と言っていいだろう。しかも今日は平日なわけだし。
で、その客層なのだけれど、僕より年上か同年代かなって人たちばかりだった。明らかに若いと思しきカップルがひと組だけいた。役所広司さんの実年齢が67歳。僕より7歳年上だ。いわゆる団塊の世代、全共闘世代の次の世代で、70年安保闘争のピークが1968年だったことを考えると、「しらけ世代」と呼ばれていた世代にギリギリ入っているのかもしれない。
正直、昨年に還暦を迎えた僕ですら映画のなかで流れる曲に馴染みはなかった。僕より少し上の世代かなと、曲の雰囲気でそう感じた。小道具としても登場したカセットテープ自体は、小学生の頃から社会人になった頃くらいまで実用的に使っていた。
ひょっとしたら、若い人からすれば全共闘世代もしらけ世代も、僕らの世代ですらひと塊りの老人世代なのかもしれない。僕らが40代くらいから下の人たち全部を若い人と括ってしまっているのと同じように。
世代論っぽいことを言おうとしたんだけれど、まったくもって意味がない気がしてきた。
さて、映画そのものについての感想を少ししよう。
ほぼほぼセリフがない映画だと聞いていた割にはしっかりとセリフはあった。
伏線回収せずに匂わせで終わっていてもいいかなと思った。
「平山」が好きかと言われると、無条件で好きとは言いずらいし、なんだかんだ結局は見た目かよとも思う。僻んでるわけではないけど。
とにかく、いい映画だった。
三浦友和さんが出ているのも僕的にはうれしかった。(「台風クラブ」のいい加減な教師役以来、ひそかに応援している)