深き海より蒼き樹々のつぶやき

Sochan Blog---深海蒼樹

2012-11-01から1ヶ月間の記事一覧

とある秋の散歩

よく晴れた秋の休日、僕たちは、気ままな散歩を楽しんでいた。テレビニュースでも盛んに言われるように、今年は紅葉の当たり年らしく、町は見事なくらいに秋らしく、いたるところに、切り取って部屋の壁に飾っておきたいような風景や、一瞬ハッと息を呑んで…

自惚れと言い訳と敵前逃亡

「時間さえあれば、いつでも出来るさ」 というのが、僕のいつもの、これまでの、言い訳だった。 「やりたいんだけど(書きたいんだけど)、まとまった時間が継続的にとれなくて、書きだしてもなかなかつづかなくて…」 「時間さえあれば、書ける」んなら、時…

羊と僕と王国の譚(4)

彼女を、それが正しい人称なのか、僕にも自信はないけれど、僕はその羊を家の中に通すことにした。勿論、僕に邪な気持ちがあったわけではないことは、繰り返し断言しておく。

これからの僕について

初めに断っておくけど、僕は1963年生まれで、来年には50歳の大台に乗ることを忘れてるわけでもなく、自分がすでに十分に大人であることも、大人でなければならないことも承知しているつもりだ。 でも、ふと、思ったんだ。 「僕は、これから先、どんな大人に…

羊と僕と王国の譚(3)

そうだ、僕は、確かに、その羊らしき訪問者にむかって、「チェンジ」と言葉をかけてみたのだけれど、それが聞こえたのか聞こえていないのか、僕には確信がもてない。ただ、なんだか、彼女は(これは僕の思い込みに過ぎないかもしれないけれど、根拠はないも…

羊と僕と王国の譚(2)

待たせていることを申し訳なく感じながらも、ドアを開ける前に、僕は覗き窓から外の様子をうかがってみた。しかし、なにも見えなかった。 僕がドアを開けないので、訪問者はもう立ち去ったってことなんだろうか。それとも、外の闇が深すぎて、見えないだけな…

羊と僕と王国の譚(1)

いつの間にか、僕は、台所のテーブルで、ウトウトと眠ってしまっていたようだった。 誰かが、僕の家のドアを、ノックした。 コン、コン! 最初、僕は、それがドアをノックする音だとは思わなかった。なぜなら、僕の家にはチャイムがついていて、わざわざノッ…

ダリアの咲く庭先で

たとえば、通りすがりの見知らぬ家の庭先に、きれいな花が咲いていたとしよう。 あなたなら、どうすだろう? ひと昔前までの僕だったら、どうしただろうか? 一番正直なところ、ひと昔前の僕なら、そんな花にすら気づかなかった可能性が高いし、その花を特に…