毎年のことだけど、3月に入ってからが焦ったい。寒の戻りだとか三寒四温なんて言葉があるくらいだから、3月とは昔からそういうもんなんだろう。とは思うものの、それにしてもなかなかに春が来ない。
このあたりでは、お水取りが済むまでは慌てて冬用タイヤを交換するなと言われている。今年も油断して2月中に夏用タイヤに履き替えた連中が、「家に帰れない」だとか「出勤できない」と、思わぬ積雪に右往左往する姿があった。
なかなか来ないと言いつつも、桜が咲いてしまえば春は駆け足で過ぎていく。桜が散ったあとの4月5月は春ではないのかと言われると困るのだけれど、春らしい春はやはり4月上旬の桜の時期だ。
梅だってあるにはある。でもやはり桜には勝てない。春と言えば桜だし、桜と言えば春なのだ。日本人として生まれ育った者の宿命としてDNAに刻み込まれているんだから仕方ない。
あらたまって花見がしたいわけではない。ただ春を感じたい。「あぁ、今年も桜が見れたな」と、誰かに聞いて欲しいわけでもなく、ひとりで呟きたい。ただそれだけのこと。