深き海より蒼き樹々のつぶやき

Sochan Blog---深海蒼樹

僕と娘が、万年筆なら、カクノとLAMYを推す理由

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 僕が、万年筆を使いはじめた歴史は、ごくごく短い。1年にも満たないくらいだ。
 子供向け万年筆『カクノ』が、想像以上に書きやすくて驚いたというエントリーを書いたのが、今年の2月のことだから、1年どころかまだまだ半年しか経ってないことになる。
 以前にも書いたとおり、僕は万年筆が苦手で、そのペン先を割ってしまう名人だった。
 僕のまわりの何人かからは、ペン先を割るというか、割れるということが信じられないといった反応をもらった。そういう人々からすると、なぜ割れるのかがわからないということらしい。
 正直、僕からすると、逆に、なぜペン先を割ったことがないのかが、信じられない。
 たとえば、そういう人たちでも鉛筆やシャーペンの芯を力余って折ったことくらいはあると思う。だったら、万年筆のあの繊細なペン先が、ちょっとした力加減の誤りで割れることを想像してくれてもいいとは思うのだけれど、ペン先が繊細とわかっているなら、力を入れるべきではないという正論でもって反論されてしまった。
 というわけで、僕は、50歳を過ぎて、万年筆の繊細さが似合わない無神経で乱暴な人というような烙印を、あらためて押された感じになってしまった。

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 写真は、自宅用と日頃持ち歩いているペンケースに入っている万年筆と、新品がひとつ。
 ちなみに、これ以外に、会社に置いてあるのが2本ほどある。そんなに頻繁に『書く』ことがあるのかと言われると、返す言葉もないのだけれど、元々が、気に入った文具があると、『自宅用』『持ち歩き用』『会社用』と欲しくなる習性が、僕にはある。

 写真の向かって左2本が、初期に出たカクノで、軸の色がグレーだった。
 その後、軸がホワイトで、キャップの色が軽いパステルカラーのものが出た。個人的には、このパステルカラーとホワイトの軸の取り合わせが、好きだ。51歳の僕に似合うかは、別として。

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 もうひとつの違いは、所謂、「首軸」の部分がスケルトン仕様になっているんだが、この写真ではわかりづらいかな。

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 こういう感じでパステルカラーのキャップと、ホワイトカラーの胴軸にスケルトンの首軸の組み合わせは、とても軽やかだ。
 ちなみに、誕生日にカクノとLAMYの万年筆を僕の趣味でプレゼントされた娘の意見としても、カクノはそのデザインと書きやすさと価格がすばらしいということだ。
 万年筆に何を求めるかは、それぞれだと思う。万年筆メーカーにとっては、こういった低価格の万年筆を入り口に高級万年筆も売れたらなという戦略かもしれない。
 勿論、僕だって、カクノを入り口として各メーカーの万年筆をひととおり検索したり見てみたりした。
 けれど、結論から言うと、欲しいと思う万年筆が見つからない。唯一欲しいなと思ったのが、LAMYのSafariモデルだった。
 万年筆の多くが、僕が子供の頃からもっている万年筆のイメージどおりの全体的に丸みを帯びたデザインで、いかにもありそうで古臭いものに見えてしまう。
 大きな点としては、『丸みを帯びた』カタチが僕は好きになれないのかも知れない。カクノやLAMYは、胴軸が六角形であったり、四角形であったりと角ばっている。
 そして、指があたる部分には、グリップしやすいように凹みがついていたりする。ゆえに、子供用であり初心者向けだと言われるのだろうけれど、その方が僕的には好きなのだ。
 極端なことを言えば、カクノやLAMY以外の万年筆を使いたいという動機が見つからないのだ。

 それくらい、カクノは素晴らしい。
 ちなみに、僕が常用しているのはF(細字)タイプだ。
 LAMYの場合、ドイツ製ということもあって、日本人には向かないという説もあるらしい。日本人に向かないというか、横文字(ドイツ語というか、アルファベット)を書くために作られた構造のため、「漢字」を書くには不向きだという指摘がある。
 特に、画数の多い漢字を書くにはLAMYの細字でも太すぎるくらいで、EF(極細)タイプをオススメする。
 カクノのFが、LAMYのEFにあたる感じだ。

 カクノに要望したいことが、ひとつある。
 キャップにクリップをつけて、胸ポケットにさせるようにして欲しいということだ。
 万年筆愛好家からすると、万年筆を胸ポケットにさすということは、非常にリスキーなことでもあるらしい。インク漏れという大惨事が起きる可能性があるからだ。
 僕の個人的事情からしても、カクノを胸ポケットにさすような状況は考えにくい。事実、クリップの付いているLAMYですら、ポケットにさしては使っていない。
 にもかかわらず、カクノにクリップをつけてほしいと僕が希望するのは、PILOTさんがどんなデザインを考えてくれるんだろうかという期待があるからだ。
 僕の頭の中では、最初からクリップがついているのではなく、簡易な着脱式のクリップというか、ホルダーが単体として販売されるといいなと思っている。

 いつの間にか、僕は僕なりに大人になっていたんだろうか?
 カクノもLAMYも、いまだに一本もそのペン先を割ったことがない。たとえ割ったとしても、カクノだと1000円だし、LAMYも定価は4000円だけれど、Amazonで買えば半額の2000円ほどで買える。
 というか、結局のところ、僕が高級万年筆に手を出せない理由は、ペン先を割ってしまうかもという恐怖心のせいかもしれないと、今になって思い当たった。

【朗報】
ケルトンが2017年発売になりました