くるりというバンドとの出会いについては、以前、ふーん、「くるり」かぁという記事で書いた。
2013年の11月に書いた記事だったので、あれから8ヶ月が過ぎたことになる。
記事にも書いたとおり、僕はくるりの熱心なファンではない。熱心なファンどころか、ファンかどうかすら怪しい気もしていた。
彼らのディスコグラフィーに、2枚組のベスト盤があるのだけれど、聴いてみたいなと思いつつも、積極的に買うまでは至らずに、iTuneでダウンロードした3曲だけを、時々思い出しては聴いていた。
3曲とは、
- ばらの花
- ハイウェイ
- 赤い電車
のことだ。
特に、「ばらの花」は、ギターでCapo3に移調して、テンポを落として指弾きで脱力系の感じで歌うと気持ちいいことに気づいて以来、大のお気に入りになった。
そして、ベスト盤には、僕の知らないもっといい曲があるかもしれないと思って、Amazonをポチったのだった。
ベスト盤をポチる前には、僕も一応の下調べはしたつもりだ。
世の中にはYouTubeや、それ以外にだって色々と音楽を手に入れたり聴いたりできるサイトがある。
僕もそれらを利用して、くるりの曲をチェックしたりはした。けれど、この3曲以外に、キャッチーに僕の心を掴むものはなかった。
僕が、とても慎重でマメな人間なら、ベスト盤の曲目リストを元に、無料音楽サイトを使ってチェックすることもできたかもしれない。けれど、僕は慎重な人間でも、マメな人間でも、あったためしがないような人間だ。
YouTubeなどのサイトでは、僕の心をわし掴みしてくれるような曲には出会えなかったけれど、ベスト盤にはきっとキャッチーではなくても、しっとりと僕の心を掴んでくれるような曲があるに違いない。そう結論づけたからこそ、僕はポチったのだった。
2枚組にしては、1枚分の価格で買えて、安かったし。
結果を、先に言おう。2枚組ベスト盤のDisc1と2を少なくとも、通して5回以上は聴いた、その結果だ。
なんだか、僕は、困ってしまったのだ。くるりというバンドが、よくわからない。どういう曲がくるりの王道なのかが、うまく呑み込めないし、くるりというバンドをうまくイメージできない。
ただ、わかったことと言えば、僕の好きな曲は、ベスト盤を買って聴いたあとも、
- ばらの花
- ハイウェイ
- 赤い電車
だということと、Disc1ばかりを聴いている。Disc2は、滅多に聴かない。
じゃあ、つまらないベスト盤なのかと言われると、更に僕は困ってしまう。
つまらないわけではないのだけれど、僕は時々、車で聞きながら、曲をスキップする。
そして、キャッチーでないことだけは確かだし、時として、見事にハズしてくれるのも事実だ。
にもかかわらず、僕は、ベスト盤のバンド譜まで手に入れて、ギターの練習をはじめた。
実は、ベスト・オブ・くるり Tower of Music Lover 2という、ベスト盤の第2弾があるんだけど、こんな調子だったので、季節はずれのサンタクロースからのプレゼントとして届くならともかく、自分で買うつもりはなかった。
にもかかわらず、僕の手元には、その Tower of Music Lovers 2という、ベスト盤CDがある。
勿論、サンタクロースなんて、小学3年生の冬以来会ったことがない。慌てて去っていく後ろ姿だけなら、数年前に見た気もするけれど、確信はない。
NHKのEテレで、ミュージック・ポートレイト「木村カエラ×奈良美智 第2夜」という番組があった。
この番組は、
『毎回ふたりの著名人が「人生で大切な10曲」を持ち寄り、時代を彩った音楽が、いかに彼らの人生に結びついていたのかを探る、音楽で綴る』
番組らしい。
そこで、僕の興味を引いたのが、
だった。
木村カエラが、番組の最後の10曲目として一押ししたのが、『奇跡』だったのだ。
奈良美智は、番組中に流れる『奇跡』に聴き入りながら、「オレもこの曲を一番にしようかな」と言い、木村カエラは、「むちゃくちゃいいでしょ、この曲」と涙ぐみさえした。
そんな『奇跡』という曲を、僕は知らなかった。
しかも、番組中に流れたその曲を聴きながらも、これまたキャッチーには僕の心を掴まなかったのだ。
で、僕は、自分が持っていたベスト盤を見なおしてみた。ベスト盤だし、こんなに評価の高い曲だし、入ってることを疑いもせず。
はい、残念ながら、入ってませんでした。
YouTubeでは、何度か繰り返し、『奇跡』を聴いてみた。PVも見たし、ライブのも見た。
けれど、僕が感動の涙を流すことはなかった。
代わりに、『奇跡』が入った、ベスト盤第2弾CDを、またしても、ポチってしまった。なかば、ヤケクソ気味に。
僕が、好きなくるりの曲の特徴としては、アコースティック・ギターの音色が心地いいということがある。
『奇跡』もアコギで弾き語るには、いい曲だ。
けれど、いまのところ、さほどは僕の心を掴んではいない。なのに、通勤の車のなかで、毎日のように聴いている。
そして、スコアを見ながら、ギターを弾いている。
まぎれもなく、ハマってる気もすれば、ハマリきれてないような気もする。
- Baby I love you
- 東京
- 男の子と女の子
- 奇跡
- かごの中のジョニー
- 三日月
- 言葉はさんかく こころは四角
くらいも、好きになりつつある。
けれど、『鹿児島おはら節』は、油断していて、不覚にも聞いてしまっていることに気づくと、慌ててスキップボタンを押してしまう。
とりあえず、ハードケースからギターを取り出して、練習をはじめよう。
無理に好きになる必要もなければ、好きにならないように構える必要もない。
ちょっと対応に困ってしまうようなバンドと出会ったという、そのことを楽しんでしまおうと思う。